備忘録

大きな魚を、磯から、ルアーで。 釣りに魅せられた20歳の学生が挑んだ半年間の備忘録です。~令和元年4-9月~

母島の釣り⑧

ローソク岩と呼ばれる磯がある。

 

姉島の北側にポツンと独立してそびえ立つこの磯は、ことロウニンアジに関しては抜群の実績を誇っており、これまで数々のアングラーがこの磯に挑み、歓喜し、そして涙を呑んできた。

 

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そびえ立つこの独立礁に、不思議なほど魅了されてしまうのは自分だけだろうか?

 

初めてこのローソク岩を見たのは4月の中頃、姉島最南端、二本岩に向かう道中のことだった。

空気が少し霧がかる中、突然視界に飛び込んできた独立礁の、どこか威圧的な佇まいに思わず息をのんでしまったのを鮮明に覚えている。

 

いつかこの磯に乗りたい。

 

当時の漠然とした願望がついに現実となった。

 

 

6/30

中潮

満潮…3:38、17:30

干潮…10:36

 

この日はKさんと2人で同礁。

冒頭で述べた通り、向かった先は名礁、ローソク岩だ。

 

ローソク岩での大物釣りにおける一番の特徴は、「かけても獲れない」という点だろう。

 

この磯は360度、浅根ときついテラスに囲まれて出来ており、沖の方も海底は起伏に富む。

魚影はピカイチだが、ひとたび魚が掛かると高確率で切られてしまうのだ。

 

「かけても獲れない」

 

自分の中のハングリー精神に、静かに、けれどもしっかりと火が灯る。

 

5時40分、実釣開始。

まずはポッパーで広く探ってみる。と、早々大きな底物が足元までチェイス

コクハンアラかツチホゼリかのどちらかだろう。

本命ではないが、いずれも釣り物として一級品である事に間違いはないので、マグナムミノーにルアーチェンジして狙ってみる。

すると沖の方でなにやらヒット。

かかった魚は右側の浅根に向かって猛スピードで突っ走っていく。どうも根魚の走り方ではない。

裏で釣りをしているKさんを呼ぼうと声を上げようとした時、

「ヒットーー」

というKさんの声が裏から聞こえてきた。

ダブルヒットだ。

浅根に突っ込もうとする魚は浅根の手前で運良く止まってくれたので、一気に寄せにかかるが、今度は一転、ボトムに向かって突っ走っていく。

テラスとメインラインとが嫌な角度で交差し始める。

このままではまずいと判断し、苦し紛れにラインをフリーにして魚が沖に向くまで待ってみたが、そのままラインが根に噛んでしまった。

糸の先から生命感も消えている。

残念ながら完敗だ。

 

気持ちを切り替え、ギャフを手に持ちKさんの方に駆けつけると、Kさんの方も自分と同じようなシチュエーションを迎えていた。

手前のテラスにリーダーが噛んでしまっている。

が、ここでのKさんのファイトはさすがだった。

20メートル入れてあるロングリーダーの強みを生かし、少しずつ魚に負荷を与えながら我慢する事数分、魚を根からはがす事に成功。

姿を見せたのは20キロ手前くらいのイソマグロだ。

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母島の海にはもっと大きなイソマグロがウヨウヨいるが、ローソク岩で釣り上げる魚としては申し分ないサイズに思える。

羨ましい限り。。

 

イソマグロの群れが入っているならもう少しイソマグロの襲撃があってもおかしくないように思えたが、後は続かなかった。

 

 

ロウソク岩は360度基本的にどこでも投げられるので、投げる方向を変えながらランガンしていく。

すると途中、潮の向きが若干変わった。

東から西に向かって流れていた潮が、沖から磯側に向かう流れへと変化。

いわゆる当て潮というやつだ。

底物釣りでは、この当て潮のタイミングが一番釣れるらしいので少し期待が膨らむ。

 

沖からの流れに乗せるようなかたちでダイビングペンシルを引いてくる。

と、なにやらヒット。

少しドラグを出されはしたがあんまり引かない。

姿を見せたのはアオチビキ。

80センチ、6キロちょっとといったところだろうか?なんだかなあ。。

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このアオチビキを手前まで寄せた時、下にひとまわり大きなアオチビキが付いてきていた。「釣れないよりはマシだ」精神で、アオチビキのサイズアップを図るべく、もう一度同じコースにルアーを通してみる。

するとアオチビキが3匹、磯際までルアーを追ってきた。

 

この時の自分は、

「どのアオチビキが食うかな」

くらいに楽観していた。

母島の海はそうしたちょっとした油断を見逃してはくれない。

突如として、ルアーにたかる3匹のアオチビキを掻き分け、テラスの下から巨大な黒い影がルアー目掛けて突進してきた。ブラックgt。

思考が一瞬停止する。

そんな事はまるで意に介さず、巨大な黒い影はルアーを咥えたままテラスの下に突っ走る。

危うく海に落とされるほどの勢いだ。

これは良い魚だと確信し、大声でKさんを呼ぶ。

が、Kさんが駆けつける途中、根ズレに耐えきれなくなった糸が無残にも宙を舞った。

 

バラした反動で磯際で尻もちをつくのはもうこれで4度目。

何度経験しても、この瞬間の歯痒さは変わらない。

どうやら自分の想像が、母島が誇る大海原で実際に起こる出来事に勝る事はないようだ。

 

その後、Kさんが同じコースにルアーを通した際、gtがヒット。このgtも体色が黒みがかっていた。

が、テラスの上でヒットしたgtは容赦なくテラスの下に突っ込み無念のラインブレイク。

 

ロウソク岩、今ままで経験したどの磯よりも格段に難しい。

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(↑2人揃って切られたテラス。磯際は360度どこもこんな感じ)

 

歯ぎしりしながらリーダーを組み直し、Kさんと交代で再度同じコースにルアーを通す。

するとやはりテラスの上あたりでヒット。

これはかなり引きが強く、危うくまた切られかけたが強引に止め鬼リフト。

が、正体はまたアオチビキ。なんだか拍子抜けだ。

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(ゆるビニめんどくさくてSSアシスト入れてないのは見逃してください)

 

サイズは1匹目と大して変わらないのに倍くらい引きが強かった。

魚って不思議だな🐟

 

突然のアオチビキパラダイスにめちゃくちゃ複雑な心境になってしまったのでお弁当タイム。

一休みしてルアーを再度投げ始める。

 

少し前まで良い感じに効いていた潮が一気に緩み始める。

母島の沖磯は潮止まりのタイミングで魚のスイッチが入るケースがしばしばあるが、この日は不発。

その後、午前と潮の流れが逆向きになったりと、終始魚の捕食スイッチを刺激しそうな潮変わりのタイミングに恵まれたが、この日の回遊魚は沈黙を守ったままだった。(最後またアオチビキがかかったが、これは磯際でオートリリース)

 

14時納竿。

あまりの完全敗北故に、一周回って清々しい気持ちで磯を後にした。

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ライングループで釣果報告。島民アングラーの反応がこちら。

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今回は手も足も出なかったロウソクのGT。

腕を上げて、いつの日か必ずリベンジするぞ。

 

 

 

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アオチビキ

ロッド:ランナーエクシード ファイナルスタンドアップ105bxh

リール:アベット ラプター lx

本線:pe8号

リーダー:ナイロン220lb