備忘録

大きな魚を、磯から、ルアーで。 釣りに魅せられた20歳の学生が挑んだ半年間の備忘録です。~令和元年4-9月~

母島の釣り⑯

もう半年間キャンパスに足を踏み入れていないが、一応所属している大学の釣りサークルの仲間が、"遠征"としてこの地を訪ねて来てくれた。

わずか数日の釣行に夢を乗せ、高い交通費と26時間にも及ぶ船旅をものともしない彼らの熱意には頭が上がらない。

 

この地に身を置かせてもらっている者として、つい忘れてしまいがちだが、夢が詰まった遠征というものは、夢の舞台は、いつだって怖いし、理不尽だ。

報われる者の傍には常に報われない者が存在するし、いつ報われるかもわからない状態で大自然と漠然と向き合う事を強いられるあの時間は、果てしない。

底が見えない。

 

けれどその先に、全てを帳消しにしてくれる、見たことのない景色が待ってくれている事を、幸運な事に自分はこの地で経験させてもらった。

是非ともあの瞬間を、仲間にも味わってもらいたい。

あの興奮と感動を、仲間と共有したい。

 

そんな思いを胸に、遠征組と沖磯に同行させてもらった。

 

 

9/11

中潮

満潮…3:12、17:09

干潮…10:10

 

5時15分、出船。

向かう先は船長チョイスで姉島最南端、二本岩。

アタリハズレの激しいこの磯だが、今年に限って言えば行くと必ずイソマグロから反応を得られている磯であり、母島海域の沖磯としては掛けてからのやり取りが比較的易しいポイントなので、初日としてはもってこいなのかもしれない。

 

内地の磯渡しとは一味違うチャカ付けに少々戸惑う様子を見せながらも、皆無事渡礁。

 

各々タックルを組み、早速ルアーを投げ始める。

朝のチャンスタイムは全員ノーバイト。

目の前は次第に二本岩特有の、右から左に向かって流れる激流と化し、ルアー操作もままならない状況となったので、自分は1段階軽いタックルに持ち替え、ジギングでお茶を濁す

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仲間にもこの潮の時は回遊魚はまず釣れない旨を告げ、エサ釣りを試してもらう。

自分は竿を置きギャフを持ち、完全にサポート体制。

他ではなかなか味わうことのできないビッグファイトを、是非とも体験してもらいたい。

 

まず顔を見せるのはすっかりお馴染みのバラハタ。

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続いて大物釣り歴わずか半年足らずの仲間の竿が絞り込まれる。

あまりの引きの強さにしゃがみ込んでのファイト。際どい勝負だった。

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顔を見せたのは7キロクラスのカッポレ。

磯からこのサイズのヒラアジは立派です。おめでとう!

 

そこからしばらくはエサ取りの猛攻に皆苦戦している様子。

ギャフを片手にのんびりご飯を食べていると目の前で仲間の竿が絞り込まれる。

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独特な模様が格好いいマダラハタ。

食レポ楽しみにしています。

 

自分はなんだか腰が重たいままなので、携帯片手にしばらく撮影係。

せっかくの遠征なので良い思い出にもなって欲しい。

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そうこうしているうちにようやく潮が緩み始めた。

仲間には冷凍ムロのフカセ釣りを試してもらう。

すると早速ヒット。潮が変わると顔を見せてくれる魚も変わってくれるのが釣りの面白いところだ。

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まずは60センチほどのハマフエフキ。

 

足早にリリースを済ませたと思うと、連続ヒット。

なかなか強烈な引きを見せ上がってきたのは

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9キロ弱の立派なバラフエダイ

ボトムでかけるとこの魚もなかなか手強い。リーダーはボロボロになっていた。

 

このバラフエダイのギャフ掛けを済ませたあたりから、本格的に1発出そうな潮にいよいよなってきたので、自分も本腰を入れて釣りを再開。

するとやはり、中型のイソマグロが足元までルアーをチェイスしてきた。

一度ルアーを回収し、アンダーハンドでイソマグロが消えていったあたりにルアーを投入。

ちょんちょんとその場でルアーを動かしていると、下からイソマグロがルアーに突進してきた。

ヒット!

と思った矢先、パァン!!っと音を立ててpeラインが弾け飛んだ。

合わせ切れ(笑)

自分のメンテナンス不足です。反省。

 

チャンスはその一瞬だけで、その後海は沈黙。

終了間際に自分が1メートルほどのバラクーダを釣って納竿。

結局ルアーでの魚からの反応は午後に自分に出た2発だけ。まあこんな日もあるでしょう。

 

 

9/12

大潮

満潮…4:09、17:40

干潮…10:54

 

前日23時までのアルバイトの疲れを感じつつ、眠気まなこをこすり5時に港へ。

「今日こそ10キロ回遊魚!」

と仲間と言い合い、沖を目指す。

 

まず乗ったのはメガネ岩という港からすぐの磯。

足元のテラスが非常にキツく、エサ釣りは絶望的なのでc級磯と呼ばれているが、ルアーで狙う回遊魚に関してはそこまで悪くない磯だ。

 

東からの爆風に耐えつつ、各々ルアーを投げ始める、と、いきなりカマスサワラのスーパーバイト!

乗らなかったもののなんだか幸先が良い。

と思っていた矢先、奥の方でやっていた弱冠18歳(?)の後輩に15キロほどの大型カマスサワラがスーパーバイト&ヒット!

味わったことの無いであろう猛烈なファーストランをなすすべなく耐える姿をニヤニヤしながら見つめつつ、サポートに駆け寄る。

「どうすればいいですか!!??」

と聞かれたので、とりあえず足場移動を促し、あとは「頑張って👍」とだけ告げ本格的にファイト開始。

50メートルほど走って止まったカマスサワラを重そうに、幸せそうにポンピングしている姿が印象的だった。

サワラは基本的に表層を走りまくるだけなので獲りやすいとされているが、15キロを超えるとサワラとてなかなか手強い。

セカンドラン、サードランを耐えたあたりで、何かに触れたのだろうか、本線のpe5号からブレイク。

これが磯の洗礼です。次は6号以上で臨みましょう。

 

その後もすごい頻度で魚がルアーに出る状況が続くが、いまいちヒットまで至らない。

こういう時はルアーのサイズを落とすのが手っ取り早い解決策なので、ルアーのサイズを190mmに落とすと案の定ヒット。

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カマスサワラとカスミアジが立て続けに。いずれも7〜8キロくらいだろうか?

 

同じくルアーのサイズを落とした仲間にもカマスサワラが。

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母島の沖磯と言っても、これほどトップに反応がある日は滅多にない。

少なくとも自分が今まで経験してきた沖磯釣行の中では間違いなく1番魚の活性が高い。

遠征という限られた日程の中で、最高のアタリ日にどうやら出くわしたようだ。

 

この大チャンスを逃して欲しくなかったので、まだ釣れていない仲間に釣り座を譲る。

 

まずは先程切られた後輩くんがキメジをキャッチ。

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5キロくらいだろうか。

とても嬉しそうにしている姿から、釣りが好きなのがひしひしと伝わってくる。

 

続いて前日良型のカッポレを上げた仲間に大型魚が掛かった模様。

なんとか手前のテラスを突破し姿を見せたのは15キロ、堂々のカマスサワラ。

今遠征最初の10キロ超え回遊魚に礁上は活気付く。

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この日未だノーキャッチの仲間のルアーにも何度かサワラのスーパーバイトがあったものの、残念ながら乗らず。

慣れていないとフッキングのタイミングってやはり難しいのだ。

 

日が完全に上り、魚の活性が低くなってきたのでここで瀬替え。

名礁、サワラ根を目指す。

大潮という事もあり、思わず目を見張るほどの激流が正面から磯に当たっておりチャカ付けは困難を極めたが、なんとか渡磯。

根の位置や、どこで魚を掛けるべきかみたいな話を少しだけして、まだ釣れてない人から良い釣り座についてもらう。

 

開始早々、後輩くんにイソンボのチェイスがあった様子。

やはりこの日の魚の活性は相当高い。

 

が、ここまで潮が流れていると走る魚はまず釣れないので、仲間たちにエサ釣りをするよう促し、自分は買ってきた缶コーヒーを飲みながらギャフを片手にエサ釣り見学。

あたりが多い釣りは見ているだけでも楽しい。

 

エサ投入直後、いきなり何やらデカそうなものがヒット!

も、あっという間に魚はハエ根をグルリと旋回しラインブレイク。

サメっぽい感じが否めないが、とにかくデカかった。残念。

 

その後、エサなりジグなりでカッポレを何匹か追加したあたりでアタリが途絶えた。

こういう時は休むに限る。

磯の上で仲間たちとお弁当を頬張り時を待つ。

 

昼前、少しずつ潮が緩み始めたのを見計らい、自分もいよいよ釣り再開。

流れに乗せる形でミノーをファストリトリーブしていると、3投目、足元で、出た。

 

イソマグロ。しかも相当デカイ。

 

足元でギラリと銀色の魚体を翻したそいつは、とてつもないスピードでボトムに猛ダッシュ

足元での難しい攻防を強いられる。

 

ファーストランを凌ぎポンピングを始めたものの、やはり体力を削りきれていない状態の魚は手前の根に張り付く。

ファイトから2分ほど経過した頃には、もう何箇所もラインが根に噛んでしまっていた。

こうなってしまったら仕方がない。

ベールを返してしばらく奮闘したものの、無念のラインブレイク。

まだまだ修行が足りないです。

 

急いでリーダーを結びなおし釣りを再開。

幸運なことにイソンボの時合いはまだ続いており、3チェイス得ることが出来たがバイトには至らず。

イルカの群れが磯周りを徘徊し始め、いよいよ魚の気配がなくなってしまったので再度瀬替え。

朝良かったメガネ岩を再び目指す。

 

連日の疲れからか、なんとなく磯の上の雰囲気は気怠さのようなものに包まれていて、雲行きが怪しい。

釣れない時間がしばらく続いていたが、未だノーキャッチだった仲間のルアーに、出た。

急いで駆け寄りサポート。

かなり重そうにポンピングしていたが、ラインの角度は悪くなかったので、ゆっくり焦らないよう注意し、上がってきたのは本命の泳ぐ魚。

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キハダ、14キロ。

尻尾へのスレがかりだった。

磯からこのサイズのキハダはなかなかお目にかかれるものじゃない。

遠征で、(こだわりがあるのかは知らないけど)こだわりのルアーで、このサイズをものにするのは本当に立派です。おめでとう!

 

彼の勢いは止まらず、この後立て続けに9キロのヒレナガカンパチをキャッチ。

イバラ道の先に広がっていた景色に、感極まっている様子がとても印象的でした。

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これを最後に納竿。

唇を噛みしめる者、万感の思いに浸る者、それぞれがそれぞれの悔しさ、課題、あるいは感謝を胸に、磯をあとにした。

 

 

 

 

2日間というあまりにも短い沖磯釣行だったが、沖磯のポテンシャル、沖磯の難しさ、そのどちらもが随所に見られた良い遠征になったのではないでしょうか。

 

悔しい思いをした人もいるようですが、一歩ずつ前進することだけでなく、1歩ずつつまずくことだって立派な成長だと思っています。

 

難しいからこそ価値ある、全てが報われる「あの瞬間」を、これからも共に求め、焦がれ、切望していきましょう!