備忘録

大きな魚を、磯から、ルアーで。 釣りに魅せられた20歳の学生が挑んだ半年間の備忘録です。~令和元年4-9月~

母島の釣り⑮

目がさめるとまだ外は夜の暗幕に覆われたままで、季節の移ろいをつい感じてしまう。

小さな変化を肌で感受できるのは、この生活を日常のものと出来ている心の余裕からか、はたまたそういう性分なだけか。

そんなどうでも良い物思いにふけるも束の間、今日も荷物をまとめて5時に港に向かう。

 

すっかり恒例行事になってしまった沖磯釣行。

 

全国の大物釣り師の方達にとって、今の自分の境遇はまさに"夢"そのものなのかもしれないが、日常と化した夢には、かつてほどの高揚感、情動を喚起する力は残っていない。

一方で、変な緊張感から解き放たれ、純粋に釣りを楽しむことができるという面では、やはり今の自分の境遇は恵まれているのだろう。

 

「幸福は1種類しかないが、不幸は人それぞれに千差万別だ。」

 

某小説家が残した有名な言葉のほんの上澄みを、自分は今実際に体験している最中なのかもしれない。

 

 

仰々しいばかりで中身の薄い前置きが少々長くなってしまったが、5時出船。

初秋の色を滲ませた晴天に恵まれ、空気を目一杯吸い込みながら船に揺られる。

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向かう先はサワラ根。

この日は東風が10メートル近く吹いていたが、この島は東風に強く、ウネリがキツくなければ島の西側に位置する磯には大抵乗れる。

 

ポイント沖に到着。

磯の上でカツオ鳥が4羽ほど、強風に身をさらし、沖を見ている。

「お邪魔します」と小さく口ずさみ、磯の上に足を踏み入れた。

 

 

9/1

中潮

満潮…6:47

干潮…13:15

 

この日は釣り部全員集合の予定だったが、2日前に1人サッカーで足を負傷してしまったので4人。

MさんKさんSさん自分というメンバー。

朝一、ベイトタックルでポッパーを投げていると早々にバックラッシュ

絡んだ糸と格闘していると後ろでMさんが早速何かを掛けていた。

魚は北側のハエ根の方に旋回しようとしたが、13ftのロングロッドで華麗に魚をいなし、上がってきたのは15キロほどのややブラックGT。

幸先の良いスタートに礁上は活気付く。

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続いて魚を掛けたのはSさん。14センチの小型ダイビングペンシルをスキッピングしていたら食ってきたようだ。

上がってきたのは10キロほどのカマスサワラ。

去年(?)から大物釣りデビューしたSさん、4度目の母島沖磯チャレンジで念願の10キロ回遊魚達成。

敗北の悔しさを味わった上で、自らの腕で"釣った"1匹の感動を知っているだけに、ついついこちらまで嬉しくなる。

やはり「磯から10キロ」って1つの壁なのだ。

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その後は全体を通してカマスサワラのバイトが頻発するものの全て乗らない。

自分には5バイトあったものの1匹もファイトまで至らなかった。

前々から感じていたが、どうもカマスサワラとシングルフックとは相性が悪いらしい。

ただ、カマスサワラは下手にフッキングしてしまうと歯ズレでスパスパ糸を切られてしまうので、そうした観点からも自分はシングルフック派だ。(1番はリリースのためだが)

 

続いてナイロン30lb+デッドベイトの作法スタイルで釣りをしていたKさんにヒット。

上がってきたのは80センチほどのハマフエフキ。

自分は1時期このハマフエフキを釣ってみたくてしょうがない時があって、伊豆諸島ではじめて70センチ弱のハマフエフキをルアーで釣り上げた時には大興奮したものだが、この海域だとこの魚は完全に脇役。

ハマフエフキ好きの自分としては少しだけ寂しい(笑)

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朝のチャンスタイムはこれにて終了。

バイト先の店長が作ってくれたお弁当で早めの昼食をとる。ありがとうございます。

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トップへの反応が薄くなってきたので、Mさんと並んでミノーを投げているとMさんに何やらヒット。

最初はまたサワラかもと2人で言っていたが、手前まで寄ったあたりでボトムに猛ダッシュ、後、根ズレでラインブレイク。

キハダだろうか?

根ズレは仕方ないが顔は見たかった。

 

Mさんのラインブレイクに触発され、より気合を込めてミノーを投げまくる。

 

と、突然海が覚醒。

 

カッポレとカスミアジの大群が後ろからついてきたと思ったら、下からイソマグロまでルアーを見に来る始末。

「海が覚醒しました!!!」

と同行者たちに向かって叫び、再び興奮のるつぼと化した海にルアーを投げ込む。

と、やはりカッポレとカスミアジの大群が。

「何が起きたんだ?」

などと思いながらルアーを回収しようと思ったその時、カッポレの群れを押し分け、もう半分海面から顔を出しているミノーに20キロほどの魚が突進してきた。

すぐ足元での出来事なので完全に目があった。GTだ。

正面にハエ根はないが、左右には厄介なハエ根が張り出しており、主導権は完全に魚側。

多少強引にファーストランを止め、ポンピングに差し掛かる。

セカンドラン、サードランも耐え、魚体が見えてきた。

ここで魚は右側のハエ根に回りはじめたので、焦って足場を移動したのだが、これが完全にミスチョイス。

移動途中に変にラインの角度が悪くなってしまったらしく、根ズレでリーダーブレイク。

足元でヒットすると、魚に余力を残した状態で手前の根際での攻防を強いられるので確かに難しい。

だとしても、ファーストランは凌げたわけなので、今のは獲らなければいけない1匹だった。とても悔しい。

 

朝のバックラッシュでベイトリールはご臨終中なので、再びスピニングタックルにリーダーを結び奮闘したが、その後海は沈黙。時合いは本当に一瞬だけなのだ。

 

Sさんのルアーボックスが強風に煽られ海に飛んで行ったりなどのハプニングもあり、なんとなく磯の上は緊張感に欠ける雰囲気が漂っている。

まあそんな日もあるだろう。

 

昼を過ぎたあたりにSさんに、終了間際にKさんにそれぞれイソマグロと思われる良い当たりが出たが、Sさんは根ズレ、Kさんはスリーブの食い込みでいずれもラインブレイク。

結局この日は4人とも大きな魚に1ラインブレイクずつ食らい、仲良く(?)磯を後にした。

 

これが遠征だったら悔しくて1ヶ月は引きずるところだが、10日後には遠征者とまた磯に乗る予定。

サポート役がメインになるだろうが、もし自分にもチャンスが回ってきたら、しっかりとものにしたいところだ。

 

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p.s. 猫背を治したいです。(涙)