母島の釣り④
季節外れの風の強さでずっと悪かった海がようやく落ち着き、かねてから計画していた沖磯釣行をようやく決行することができた。
6/1
満潮…4:18、17:34
干潮…10:57
この日もいつもお世話になっているMさんとKさんと共に磯に乗せてもらった。
南風5〜7mで、西側にはウネリが残っている状況。サワラ根や姉島の磯は厳しいので、北の名礁、鬼岩へ。
断崖絶壁、切り立つ磯が格好いい。
北側に向かって適度に潮が走り、雰囲気は抜群。
GTが多いと言われるポイントなのでまずはベイトタックルで。リーダーを20メートル以上巻き込んだロングリーダーシステムでのキャストはなかなか難しい。
自分が思うようにキャストできていない中、裏の瀬で釣りをしていたMさんが早速GTをかけるもラインブレイク。30キロは余裕で超えていたそう。
幸先のいい出だしもあとは続かず。1時間ほど沈黙が続く。
潮流は次第に力強さを増していき、沖には潮目が走り始める。
ここで自分は飛距離が欲しかったのでスピニングタックルへ持ちかえ、沖にできた潮目を狙ってみる。使用ルアーはワイルドレスポンス240f。
持ちかえて数投後、なにやらヒット!
手応えは軽くポンピングでスイスイ寄ってくるので、サワラかな?と思っていると上がってきたのは7キロくらいのキメジ。
が、ここで完全に油断した。
なにを血迷ったのか、「なんだキメジかぁ」という、一ヶ月前だと絶対に生じていないはずの感情が脳をかすめる、と同時にボトムに向かって猛烈にキメジがダッシュ!
プツンッッ
実力に見合わない慢心が招いた情けなさすぎるラインブレイク。やはりどんな時も謙虚に全力で物事には向き合わなければ。。と反省しているとMさんが自分がバラしたサイズくらいのキメジを余裕でキャッチ。(写真なし)
かけてから空気を吸わせるまでの余裕は何回見てもさすがだなぁと思ってしまう。
Mさんのキメジのギャフがけを済まし、急いでリーダーを結び直していると今度は裏でやっていたKさんにヒット!しかもなかなかでかそう。
海面に姿を現したのは20キロは超えていそうなキハダ。
が、ギャフがけに入ろうとしたその時、手前でキハダが猛ダッシュ!そして無念のラインブレイク。
磯での大物釣りはやはり難しい。
その後は休憩を各自挟みつつの釣り。約1時間後、キハダの群れ第二陣が襲来。
まずはMさんが8キロくらいのキメジをキャッチ。
続いてKさんにヒット、も無念のバラシ。
最後に自分にヒット。これは先ほどバラした個体よりは大きそう。
慎重に寄せてくるものの、途中でフッと軽くなってしまう。
なんで!!??
フッキングもしっかり決めたし根ずれの感触もなかったはずなのに…
ルアーを回収して見るとスプリットリングが破壊されていた。運悪く錆びた箇所にピンポイントで負荷がかかってしまったのだろうか…?
その後、海は沈黙。キハダの回遊は本当に一瞬で終わってしまう。
母島の雄大な海を眺めながら休み休みルアーを投げ、時間は下げ止まりに向かってゆっくりと過ぎていく。
都会と違い、周囲の喧騒に気を散らされるような事はない。磯の上で、流動的に動く一点を、ただ、静かに見つめる。
すると突然、海面が大きく割れた。
海面を割って自分のルアーにアタックしてきたのは巨大なキハダ。
魚体丸出しでジャンプバイトしてきたため、70メートルほど沖でかけたにもかかわらず、目からヒレからしっかりと目視出来た。
竿に伝わる重量感からして、間違いなく今までかけたことのある魚の中で最大サイズ。
大迫力でバイトしてきたキハダの姿が脳裏に焼きつき、ファイト中も心臓の鼓動が鳴り止まない。
途中何度か態勢を崩されたが、魚は着実に寄ってきて、リーダーの結び目が竿先に入った。
もう少しだ…!
そう思った矢先、とんでもないスピードでキハダがボトムに走り出した。
ハンドドラグで無理やり止めるとか、ベールフリーで沖に向くまで待つとか、そういうレベルの走りではない。なすすべなく磯際で耐えるしかなかった。
結局、ワンダッシュで50メートル以上走られラインブレイク。
完敗だった。
チャンスを物にできなかった悔しさ、大迫力のファイトを演じられた興奮、あらゆる感情で胸がいっぱいになる。
けど、やっぱり悔しい。本当に悔しい。
「良薬は口に苦し」
有名なことわざだけど、まだ20歳の若僧には少し苦すぎる。
磯の上で夢を叶えるのは、自分が想像していたよりも格段に難しいようだ。
疲れたので腰を下ろし、朝作ってきたおにぎりを頬張っていると船長がこちらに近付いてくる。どうやら磯を変えるらしい。
移動先は開拓も兼ねて名もなき地磯。各々思い思いのポイントで釣りを開始する。
Mさんはここで島民の大好物、スマを釣っていた。なかなか手に入らない高級魚を見て船長も嬉しそう。
自分はというと、甘えも兼ねて少しの間ジギングを試してみた。まあまあなサイズのバラハタが遊んでくれるのでなかなか楽しい。
何投かして根掛かりしてしまったのでキハダ狙いのスピニングタックルに持ち替えラスト2時間を過ごすことに。
シルエットの小さいルアーの方がキハダは反応がいい気がしていたので、別注平政の190fで攻めてみる。
追い風にのりルアーがかっ飛び、釣りをしていてとても気持ちがいい。
時刻は上げ潮がいちばん効き出す時間帯に差し掛かる。沖には潮目。時間的にもラストチャンス。
負けっぱなしで終わるわけにはいかない。一矢報いる思いでルアーを投げつづける。
するとついにヒット!
追い合わせを何度か入れ、マグロが海面でバシャバシャと暴れる。
続いてファーストラン!50メートルほど一気に走られるも、沖で走られるぶんにはラインブレイクはない。が、走る向きが少し悪い。正面と左側には根が張り出しており、マグロが走ったのは左側。右側に寄ってくれないと手前で切られてしまう。
ロッドワークで無理やり魚の向きを変える技術も経験もないので、じっと耐えて魚が右側に走ってくれるのを祈るように待つ。
すると運良く魚が右側を向いてくれた。
チャンスだ!
ここぞとばかりにポンピングで一気に寄せ、リーダーが見える。さっきと似たような状況。
ここでポンピングの手を緩めたのが先ほどの敗因だった。今度は手前でも一気に寄せ、いち早く空気を吸わせる。
フッと、マグロのチカラが弱まるのを感じる。どうやら観念したようだ。
そしてギャフ掛けに成功。
陸に上がってきたのは110センチ、17.5キロのキハダだった。
ギャフ掛けをしてくれたKさんと握手を交わし写真撮影。
苦労して魚を手にし、カメラに向かう瞬間はいつだって最高に幸せだ。
3度もバラし、これでもかと言うほど苦い思いをした。悔しい思いをした。
だけどその苦すぎた思い出も、納得できる結果と共に、ほろ苦い思い出へと変わってくれた。
やはり母島の海には夢が詰まっている。そして磯の上にはロマンがある。
思うように結果が出ない日がこれからも続くだろうし、もっと悔しい思いをこの先きっと強いられる。
だけどその悔しさと共に、磯の上に待つ夢とロマンを追い続けよう、そう固く決意できたいい一日になった。
〜おまけ〜
帰り際に釣れた70センチくらいのアオチビキ。
サイズは大きくないけど、フッキング→追い合わせ→ポンピングの流れを、横で見ていたKさんに「上達したね」と褒めていただいた。
「良薬は口に苦し」
本当に良い薬を飲まされたなあ。。
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キハダ
ロッド:ショアゴリラ 100xxh
リール:ツインパワーsw14000xg
本線:pe6号
リーダー:フロロカーボン30号