備忘録

大きな魚を、磯から、ルアーで。 釣りに魅せられた20歳の学生が挑んだ半年間の備忘録です。~令和元年4-9月~

母島の釣り⑪

ロウニンアジ

通称、ジャイアントトレバリー

 

小さな頃からの憧れで、この魚に出会うべく、単身、絶海の孤島に乗り込んで3ヶ月。

 

ようやく、小さな小さな、本当に小さな第一歩を踏み出すことができました。

 

 

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ロウニンアジ

重さは8キロ弱、長さは測ってないけど80センチくらい。

 

まるで自分が釣ったかのように喜んでくれたいつものMさんとKさん、朝早くにも関わらず祝福のメッセージをくれた母島釣り部の方たち、大したサイズじゃないにも関わらず、釣果報告を受け、バイト先の居酒屋に遊びに来てくれた島の知人各位には感謝しかありません笑

 

あんなに遠い存在だったのに、この日だけでこのサイズのロウニンアジを3匹も釣ってしまった笑

 

いきなり20キロとかを釣ってしまう人もいるけど、そういう人はいわゆる主人公気質な人だと思う。

はじめてのロウニンアジは、脇役な自分にはピッタリなサイズだったなあと少し安堵しています笑

 

 

島生活も残りわずか。

周りの人たちの温かさのおかげで、釣りだけじゃない、かけがえのない日々を送らせてもらっている事への感謝を忘れず、これからも地道に努力していきます。

 

 

〜〜〜〜ちなみに、、

翌日、自分は痛恨の朝まずめ寝ブッチ。

やってしまった。。と思いながらグループラインを見ると、、

 

 

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36キロ。

Mさんの釣果。流石の一言。

 

ちょっとしたアクシデントがあった関係で、海に飛び込んでランディングしたとのこと。

もはや釣り吉三平の世界ですね笑

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

ロウニンアジ

ロッド:グランデージxd 100ex

リール:ツインパワーsw14000xg

本線:pe6号

リーダー:ナイロン180lb

 

母島の釣り⑩

バイト先(居酒屋)の常連さんのお誘いを頂き、オフショアジギングに連れていってもらった。

 

せっかく釣り仲間がまた1人増えたのに、その方は8月に父島へ移住してしまうので少しだけ悲しい。

 

 

7/13

若潮

満潮…2:11、16:09

干潮…9:16

 

この日は8時出船、が、自分のドジで出船時刻を1時間間違えていたため7時前に港に到着。

当然船の前には誰もいないので、しばらくの間、ダイビングショップの従業員の方たちと談笑。

会うたびに「早くGT釣ってくださいよ〜」と煽られるがもう慣れてしまった笑

ちなみにここのダイビングショップの社長さんは、磯の作法に登場する伝説の57キロのイソマグロをギャフ掛けした当の本人。

ロウニンアジTシャツも店内に売られているし、磯の作法読者は立ち寄ってみると楽しいかもしれない。

 

そんなこんなで時間を潰していると時刻は8時を迎え、あいにくの雨の中出船。

メンバーは自分含めて6人。

母島釣り部の人達以外と釣りに行くのは初めてなので、少しだけ緊張したが、新鮮な気分を味わえて良い気分転換になった。

趣味が共通だとすぐに打ち解けられるのでとても良い。

これから先、中学同期や高校同期のように心を許しあえる友人はなかなか出来ないだろうから、趣味が人脈に直結してくるのだろうなあとか思ってみたり。

 

そんなこんなでポイントに到着。

今回は姉島周りの水深100-150メートル帯を攻める近海ジギング。

筋肉に自信がないし、ジギング初心者なのでディープジギングに不安があった自分に気を遣って水深の浅いポイントを選んでくれた同行者の方たちに感謝。

 

朝一の一流しめ、ジグが着底したのを確認し、ワンピッチワンジャークを開始するといきなりヒット!

フと隣を見ると、左舷で竿を出していた6人全員の竿が曲がっている。

ダブルヒットを大きく通り越してセクスタプルヒットだ(笑)

 

上がってきたのは4〜5キロくらいのヒレナガカンパチ。

お手頃サイズだけど、初めて釣る魚はサイズに関係なくとても嬉しい。

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一流しめからこれなのだから、今日は爆釣だなと確信したが、なんとそこから全員ノーヒットの時間がしばらく続く。

 

ジグが真っ直ぐに海底に沈んでいくのから察するに、潮がまるで流れていない。

 

釣り自体ほとんどやったことがないという学校の先生は、船酔いで終始マーライオン状態だった。

自分は最近、船酔いの頻度が激減したし、少しはたくましくなったなと実感(笑)

 

マーライオンと化した先生を横目に、渋いながらもジグをしゃくり続けるとポツポツと魚からの反応が。

 

結局自分はこの日、カンパチ3本とカッポレ、あとアカハタモドキ(?)を追加して夕まずめを迎えた。

 

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最後のポイント、近海からはなれ結構沖の方に出てきた。目の前には鳥山。

トッププラグを投げたかったけど、今回は水面直下ではなく海底付近の食物連鎖を楽しむ日なので、我慢して250グラムの鉛の塊を海に放り込む。

水深はこの日最深の160メートル。

ジャカジャカとジグをシャクっていると隣でやっていた父島から来たジギンガーの方が何かデカそうなのをかけるもフックアウト。

聞くと底から30メートルほどのところでヒットしたらしいので、自分もいつもより長めにジグをしゃくり続ける。

 

と、ガツンといい当たりが!

 

竿尻を脇に挟み2度、3度追い合わせを入れてやると、ジャーっと一気に糸が出される。

走る魚だ。

脇挟みのまましばらくファイトして、糸ふけが十分に取れたところで竿尻をギンバルにセット。

深いところで10キロ以上の魚をかけるとめちゃくちゃ重たい。

 

よいしょよいしょとポンピングを繰り返し、ようやく上がってきたのはキハダ。

オフショアで釣るにしてはまだまだキメジサイズだけれど、最後の最後にこの日1番の魚を手中にできて良かった。

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これを最後に納竿。

終わってみるとまさかの自分が竿頭だった。釣りにおけるビギナーズラックは本当に侮れない。

普段ジギングをしないから、適当に持っていったハイギアのリールが、この日の潮が緩かったこともあり功をそうしたのだろう。

ラッキー!

 

 

ところでオフショアジギング、普通にハマってしまった。

どう見てもエサには見えない鉛の塊が、はるか150メートル海底に潜む魚たちを狂わす。

最初に思いついた人、絶対天才だ。

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今回はアマゾンで適当に買った、メロン屋工房のウィークベイト SDを使っていたが、他にもオススメのジグとかあったら是非教えて欲しいです。

8月の頭に1週間ほど、サンゴ漁の手伝いに行く予定なので、船長さんに頭を下げてジギングもやらせてもらっちゃおうと思案中。

 

 

 

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ロッド:ブラストJH59HS

リール:ツインパワーsw8000hg

本線:pe4号

リーダー:フロロカーボン80lb

母島の釣り⑨

「サワラ根」

 

母島の北西部にポツンと浮かぶこの小島は、磯釣り師たちにとって夢の名礁である事は言うまでもないし、母島における磯大物釣りの歴史は、この小島から始まったと言っても過言ではない。

 

「磯の作法」でおなじみの青木さんや、石拳をはじめとする底物グループ、そして全国の凄腕ルアーアングラー達が、夢の大魚と肉薄できるこの小島を夢想し、挑み、挫折し、そして夢や憧れをその手におさめてきた。

 

この磯にはまさに「歴史」が詰まっている。

 

そして、ほんの一部に過ぎないが、自分もまたサワラ根に彫り込まれた歴史の一片を象っている。

 

19歳の夏、磯大物釣りを始めてまだ1年くらいだった頃、未熟ながらもロウニンアジやキハダ、イソマグロに対する憧れは留まるところを知らず、このサワラ根に挑んでいた。

 

道具を新調し、インターネットに転がっている先人たちの釣行記を読み漁り、自分なりに知識を蓄えて、夢に最も近づけるこの小島に足を踏み入れた。

 

けれども現実は甘くない。

19歳のガキが思い描いていたものは畳の上の水練に過ぎず、「サワラ根」と「夢」とは近くて遠かった。

 

冷凍ムロアジをエサに釣りをしていた先輩や同期達は、コクハンアラやカスミアジといった、他ではなかなか味わうことのできない魚を手にしていたが、ルアーにこだわり続けた自分はカッポレ1匹のみという惨敗。

 

大魚を手にし、興奮冷めやらぬ様子の仲間たちが、眩しくて羨ましくて仕方がなかった。

 

帰りのフェリーでされた、

「どうしてエサ使わなかったの?」

という質問に、ただただ唇を噛み締めるしかなかった。

 

 

 

あの日の挫折から約1年。

 

これまでの沖磯釣行では、遠征組にサワラ根は譲っていたし、行ったことのない磯に行く事を優先して一度もサワラ根には乗っていなかったが、今回ついに聖地に再び、足を踏み入れた。

 

 

7/14

中潮

満潮…2:58、17:04

干潮…10:04

 

今回も前回に引き続き、Kさんと2人で同礁。

本当はMさんも来る予定だったが、先週も沖磯に行っているMさんは、2週連続で家を空けるとは何事かという奥さんのお怒りにより釣りを断念。

結婚生活もなかなか大変なようだ。

 

朝一、予想以上に北からのウネリが強かった関係で、6時過ぎくらいにサワラ根沖に到着した。

 

母島に来て、大きな魚に何度も切られたし、ある程度の魚は手にしてきた。

1年前から自分がどれくらい成長しているのか。

満を持して、いざ、畳数畳ほどの小さな磯に足をふみいれる。

 

朝一、まずはベイトタックルで攻めてみるも、この日は向かい風が想像以上に吹き荒れており、ベイトタックルを扱うには不利な状況だったので、スピニングメインに切り替える。

 

海面もかなり波立っており、ダイビングペンシルではアピールしずらい海峡だったので、ポッパーとミノーがメインの釣りを展開することにした。

 

まずは西側に向かって投げていたKさんにキハダとGTのチェイス

南側に向かって投げていた自分にも、小型ではあるがロウニンアジのチェイス、もバイトには至らない。

 

時より肌をかすめる波しぶきから察するに、かなり水が冷たい。冷たい潮が入ってしまったのだろう。

潮もあまり流れていないし、これは厳しい戦いになるなと腹をくくる。

 

ルアーでしばらくノーバイトの時間が続いていたが、冷凍メアジの1匹掛けに切り替えていたKさんが何か走る魚を掛ける。

が、この魚、どうやらめちゃくちゃにデカイ。

 

隣で20キロオーバーの魚を何度か釣られたきたが、それとは比にならないほどのパワー全開のダッシュがKさんを襲っている。

 

西側でかかった何者かは北側のハエ根に向かって旋回し、ついにはハエ根の裏側にまでまわってしまった。

磯の作法で何度も読み返した、サワラ根での「教科書通り」の走り方だ。

 

Kさんも立ち位置を大きく移動して応戦。

途中で糸が根に絡むことなく移動に成功していたので、もしかしたら、と思ったが、やはりサワラ根の東側は根がキツイ。

何度目かのランで切られてしまった。

あそこまでの引きを今まで見たことがない。

40キロ、いや50キロクラスのイソマグロだったかもしれないだけにKさんも悔しそう。

 

Kさんのビッグファイトから数十分後、西側でミノーを投げていた自分にもなにやらヒット。

掛かった魚は表層を右往左往していたので、サワラかな?と思っていたが、手前でボトムに猛ダッシュ

この走り方はキハダのそれだ。

ボトムに向かってどんどん糸が出されるが、目の前に厄介な根はないので、そのまま走らせていたところ、フッと軽くなってしまう。

フックアウト。

追い合わせは4回ほどきめていたのだが。。

隣で一連の流れを見ていたKさん曰く、今のは掛かり所が浅かったのだろうとのこと。

いまいち魚の捕食スイッチが入りきっていないようだ。

 

割と長い時間ファイトしたので、休憩がてら食パンを食べて時間を潰し、今度は東側の水道に向かってルアーを投げる。

 

ブルブルとミノーが潮を噛む感触が伝わってくる。

と、ググーとルアーを巻く抵抗が重たくなる。

1秒ほどの間をおいて大きく竿を煽る。

ヒット!

掛かった魚は初っ端から猛烈に南側に向かって走っていき、手元にはプルプルという独特な微振動が伝わってくる。

 

キハダのそれだ。

 

キハダは引きの強さの個体差が激しいが、今回掛けたキハダは沖の方でこれまでにないほど走りまくる。

ファーストラン、セカンドラン、サードラン、どれも50メートル以上ラインを出されてしまった。

Kさんは裏で釣りをしていたので、大声を出して何度か呼ぶがなかなか声が届かない。

そうこうしているうちになんとか手前まで魚が寄ってきた。

と、今度は磯際のボトムに向かってまあまあな勢いで走る。

案の定、ラインが手前の根に少し噛む感触が伝わってきたので、一旦ベールを返し、ハンドドラグでテンションを調整してやる。

と、魚が根から剥がれた。

前回、隣でKさんがイソマグロ相手にそうしていたのを真似てみたらうまくいった。

これはとれるぞ!

根際の勝負所を制すべく、全身を使って一気にリフト。

ボカン、とキハダが海面に浮いてきた。勝負あり。

Kさんにギャフ掛けをしてもらい、握手を交わす。

計測の結果、20.3キロ、自己記録となるキハダだった。

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サワラ根の歴史を考えると、このサイズのキハダは下から数えた方が早いくらいの大きさに過ぎないが、1年前、この磯で泣きたくなるほどの挫折を味わった自分にとっては、納得のファイトであげることができた会心の1匹だ。

 

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まだ20歳で、経験も知識も技術も未熟だけど、一年前よりは少しだけ成長できているのかもしれない。

 

 

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ところで、リーダーは上から下までケバケバだったし、フック付属のプレスリング(リングドクダコの6/0)がへし曲げられていた。

以前にもリングドクダコのプレスリングを破壊されたことがあるし、次からはがまかつのリングドチューン管ムロに変えてみようかな。

 

なんとか1匹良い魚をあげることができてホッと一息。

灼熱の礁上で休憩を挟みつつ、15時まで投げ続けたが、その後は顔なじみの魚が何本か釣れただけで、自分もKさんも良い魚からの反応は得られなかった。

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帰りの船の上で、一年前の挫折を思い出していた。

 

特に機転もきかないし、センスも人並み以下の自分の唯一の武器は「投げ続けられること」

泣きそうになりながらルアーを投げ続けた去年があるからこそ、今、なんの苦労もなくキャストし続けられるし、キャストし続けられるからこそ、下手くそにも関わらず割と魚がヒットする。

 

ルアーにこだわり続けた、死ぬほど苦しかった、魚なんてどうでもよくなるほど惨めだった去年のあの二日間も、今思うと通らなければならない道の1つに過ぎなかったのかもしれない。

 

 

 

尊敬する釣り師の1人である青木さんが残した、(自分の中では)有名な格言がある。

 

「何らかの制限を設けなければ、"技術"というものは向上しない。

大事なのは、何にこだわって技を磨くかだ」

 

この言説が、世の中の全ての事象に当てはまるとは別に思わないけれど、釣りに関しては驚くほどよく当てはまると思う。

ルアーを飛ばす技術がないのならドローンを使えば済むし、根際の攻防を制す技術がないのなら、船の上から、太い糸と電動のリールを使えばキャッチ率は当然上がるだろう。

 

だけど、それではつまらない。

 

制限があるからこそ「技」は洗練されるし、何よりやりがいがある。

 

自分はその制限に「磯から釣ること」、そして「ルアーで釣ること」を選んだ。

なぜこの2つを選んだのかに、これといって格好いい理由があるわけではない。

 

ただ好きだから、それだけの理由。

 

「ルアー」という、何の変哲も無いただのプラスチックの塊に、自らの腕で命を吹き込む。

命を吹き込まれたプラスチックの塊は、沖合で海中の生物たちを惑わせ、狂わす。

そして大海原に浮かぶ独立礁の上で、一瞬のチャンスに夢を託す。

ルアー釣りのこの一連の流れに、自分は不思議なほど魅了されてしまうのだ。

 

だから自分は磯の上ではルアーしか投げないし(一度だけ休憩ついでにカニを放り込んだが笑)、ルアーを投げ続けている時間に幸せを感じてしまう。

 

ルアーに、磯にこだわり続けて約2年。

ほんの少しずつだけど、こだわりが身を結び始めているのかもしれない。

 

まだまだ道は長い。

世の中には自分のはるか先を行く釣り人が山のようにいて、自分は道を歩き始めたばかり。

これからの人生で、自分がどこまでいけるかなんてわからないけれど、気負わず、自分のペースで今の釣りを続けていこうとか考えながら、帰りの船に揺られていた。

 

 

 

 

「どうしてエサ使わなかったの?」

あの日、悔しくて、情けなくて、答えられなかったあの質問に、今なら少しだけ胸を張って答えられる気がする。

「そんなの、ルアー釣りが大好きだからに決まってるじゃないですか。」

 

 

 

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キハダ

ロッド:グランデージxd 100ex

リール:ツインパワーsw14000xg

本線:pe6号

リーダー:ナイロン180lb

母島の釣り⑧

ローソク岩と呼ばれる磯がある。

 

姉島の北側にポツンと独立してそびえ立つこの磯は、ことロウニンアジに関しては抜群の実績を誇っており、これまで数々のアングラーがこの磯に挑み、歓喜し、そして涙を呑んできた。

 

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そびえ立つこの独立礁に、不思議なほど魅了されてしまうのは自分だけだろうか?

 

初めてこのローソク岩を見たのは4月の中頃、姉島最南端、二本岩に向かう道中のことだった。

空気が少し霧がかる中、突然視界に飛び込んできた独立礁の、どこか威圧的な佇まいに思わず息をのんでしまったのを鮮明に覚えている。

 

いつかこの磯に乗りたい。

 

当時の漠然とした願望がついに現実となった。

 

 

6/30

中潮

満潮…3:38、17:30

干潮…10:36

 

この日はKさんと2人で同礁。

冒頭で述べた通り、向かった先は名礁、ローソク岩だ。

 

ローソク岩での大物釣りにおける一番の特徴は、「かけても獲れない」という点だろう。

 

この磯は360度、浅根ときついテラスに囲まれて出来ており、沖の方も海底は起伏に富む。

魚影はピカイチだが、ひとたび魚が掛かると高確率で切られてしまうのだ。

 

「かけても獲れない」

 

自分の中のハングリー精神に、静かに、けれどもしっかりと火が灯る。

 

5時40分、実釣開始。

まずはポッパーで広く探ってみる。と、早々大きな底物が足元までチェイス

コクハンアラかツチホゼリかのどちらかだろう。

本命ではないが、いずれも釣り物として一級品である事に間違いはないので、マグナムミノーにルアーチェンジして狙ってみる。

すると沖の方でなにやらヒット。

かかった魚は右側の浅根に向かって猛スピードで突っ走っていく。どうも根魚の走り方ではない。

裏で釣りをしているKさんを呼ぼうと声を上げようとした時、

「ヒットーー」

というKさんの声が裏から聞こえてきた。

ダブルヒットだ。

浅根に突っ込もうとする魚は浅根の手前で運良く止まってくれたので、一気に寄せにかかるが、今度は一転、ボトムに向かって突っ走っていく。

テラスとメインラインとが嫌な角度で交差し始める。

このままではまずいと判断し、苦し紛れにラインをフリーにして魚が沖に向くまで待ってみたが、そのままラインが根に噛んでしまった。

糸の先から生命感も消えている。

残念ながら完敗だ。

 

気持ちを切り替え、ギャフを手に持ちKさんの方に駆けつけると、Kさんの方も自分と同じようなシチュエーションを迎えていた。

手前のテラスにリーダーが噛んでしまっている。

が、ここでのKさんのファイトはさすがだった。

20メートル入れてあるロングリーダーの強みを生かし、少しずつ魚に負荷を与えながら我慢する事数分、魚を根からはがす事に成功。

姿を見せたのは20キロ手前くらいのイソマグロだ。

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母島の海にはもっと大きなイソマグロがウヨウヨいるが、ローソク岩で釣り上げる魚としては申し分ないサイズに思える。

羨ましい限り。。

 

イソマグロの群れが入っているならもう少しイソマグロの襲撃があってもおかしくないように思えたが、後は続かなかった。

 

 

ロウソク岩は360度基本的にどこでも投げられるので、投げる方向を変えながらランガンしていく。

すると途中、潮の向きが若干変わった。

東から西に向かって流れていた潮が、沖から磯側に向かう流れへと変化。

いわゆる当て潮というやつだ。

底物釣りでは、この当て潮のタイミングが一番釣れるらしいので少し期待が膨らむ。

 

沖からの流れに乗せるようなかたちでダイビングペンシルを引いてくる。

と、なにやらヒット。

少しドラグを出されはしたがあんまり引かない。

姿を見せたのはアオチビキ。

80センチ、6キロちょっとといったところだろうか?なんだかなあ。。

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このアオチビキを手前まで寄せた時、下にひとまわり大きなアオチビキが付いてきていた。「釣れないよりはマシだ」精神で、アオチビキのサイズアップを図るべく、もう一度同じコースにルアーを通してみる。

するとアオチビキが3匹、磯際までルアーを追ってきた。

 

この時の自分は、

「どのアオチビキが食うかな」

くらいに楽観していた。

母島の海はそうしたちょっとした油断を見逃してはくれない。

突如として、ルアーにたかる3匹のアオチビキを掻き分け、テラスの下から巨大な黒い影がルアー目掛けて突進してきた。ブラックgt。

思考が一瞬停止する。

そんな事はまるで意に介さず、巨大な黒い影はルアーを咥えたままテラスの下に突っ走る。

危うく海に落とされるほどの勢いだ。

これは良い魚だと確信し、大声でKさんを呼ぶ。

が、Kさんが駆けつける途中、根ズレに耐えきれなくなった糸が無残にも宙を舞った。

 

バラした反動で磯際で尻もちをつくのはもうこれで4度目。

何度経験しても、この瞬間の歯痒さは変わらない。

どうやら自分の想像が、母島が誇る大海原で実際に起こる出来事に勝る事はないようだ。

 

その後、Kさんが同じコースにルアーを通した際、gtがヒット。このgtも体色が黒みがかっていた。

が、テラスの上でヒットしたgtは容赦なくテラスの下に突っ込み無念のラインブレイク。

 

ロウソク岩、今ままで経験したどの磯よりも格段に難しい。

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(↑2人揃って切られたテラス。磯際は360度どこもこんな感じ)

 

歯ぎしりしながらリーダーを組み直し、Kさんと交代で再度同じコースにルアーを通す。

するとやはりテラスの上あたりでヒット。

これはかなり引きが強く、危うくまた切られかけたが強引に止め鬼リフト。

が、正体はまたアオチビキ。なんだか拍子抜けだ。

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(ゆるビニめんどくさくてSSアシスト入れてないのは見逃してください)

 

サイズは1匹目と大して変わらないのに倍くらい引きが強かった。

魚って不思議だな🐟

 

突然のアオチビキパラダイスにめちゃくちゃ複雑な心境になってしまったのでお弁当タイム。

一休みしてルアーを再度投げ始める。

 

少し前まで良い感じに効いていた潮が一気に緩み始める。

母島の沖磯は潮止まりのタイミングで魚のスイッチが入るケースがしばしばあるが、この日は不発。

その後、午前と潮の流れが逆向きになったりと、終始魚の捕食スイッチを刺激しそうな潮変わりのタイミングに恵まれたが、この日の回遊魚は沈黙を守ったままだった。(最後またアオチビキがかかったが、これは磯際でオートリリース)

 

14時納竿。

あまりの完全敗北故に、一周回って清々しい気持ちで磯を後にした。

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ライングループで釣果報告。島民アングラーの反応がこちら。

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今回は手も足も出なかったロウソクのGT。

腕を上げて、いつの日か必ずリベンジするぞ。

 

 

 

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アオチビキ

ロッド:ランナーエクシード ファイナルスタンドアップ105bxh

リール:アベット ラプター lx

本線:pe8号

リーダー:ナイロン220lb

母島の釣り⑦

6/22、23の日程で、もう何年も小笠原の磯に通い続けているという餌釣り師の方が、自分が働いている宿に宿泊するとのことで、なんと無料で沖磯釣行に同行させて頂くことになった。

 

この上ないチャンスを与えてくれた船長さんと餌釣り師の方に感謝。

 

 

6/21

この日は南風がやや強く吹く予報だったので、北側の鬼岩や臥牛角に行くものだと思い込んでいたら何やら船は向島の方へ走っていく。

自分は今回、同行させてもらっている身分であり、釣りをした事がない従業員仲間も同船する接待釣行みたいなところがあったので、磯選びにはあえて関わらないようにしていたのだが、乗せられたのはまさかのマグロ穴。

向島に位置するこの場所はダイバー達からは人気のポイントらしいが、ダイビングスポットという事はすなわち潮があまり効かない。

マグロ穴というなんともアツイ名前とは裏腹にサムイ釣り場なのだ。

 

餌釣り師の方の要望で出船は朝の8時。(さすがに遅すぎる笑)

磯に着くともう9時近くなので、朝まずめの一発は期待できない。。

 

何とも浮かない気分で釣りを開始した。案の定、潮は全く流れない。

 

皮肉な事に斜め前方にはメガネ岩が見える。

せめてメガネ岩に乗せてほしかった。。

 

ここでは自分がダツ1匹とバラクーダ1匹、特大バラハタを1匹キャッチして終了。

別注平政に果敢にアタックしてきたバラハタは10キロ近くあるんじゃないかという巨体で、島生まれ島育ちの宿の若旦那も目を丸くしてその巨体(笑)を見ていた。

記念に写真を撮ろうとしていると波にさらわれてオートリリース。

写真、撮りたかったなあ。。

 

 

ルアーではちょくちょく外道から反応が得られるが、餌釣りの方はアタリすらない厳しい状況。餌釣り師のベテランも表情が浮かない。

 

午後、少しウネリがおさまってきたところで名礁、ロウソク岩を目指す。

gtに関しては抜群の実績を誇るポイントだ。

ロウソク沖に到着してしばらく様子を見る。

ウネリは思ったよりもなく乗れそうに思えたが船長の判断はノー。

小笠原の磯全般に言える事だが、特にこのロウソク岩は海底の起伏が激しく、チャカ付けにはかなり危険を伴うらしい。

 

結局乗せてもらったのはロウソク岩の裏の方にある姉島の地磯。

ここも残念ながら潮は当たらない。(その証拠に、磯の目の前には砂浜が広がっている笑)

 

お昼のおにぎりを食べて釣り再開。

餌釣りの方はここでは調子が良く、立て続けにバラハタやバラフエダイをあげていた。

一方ルアーは反応皆無。

朝からずっとベイトタックルを使用していたが、何とかロウソク岩の方までルアーが届かないものかと思い立ち、粉砕覚悟で継ぎ目が少し欠けているスピニングタックルを手に取った。

 

すると一投目、別注平政に何者かがバイト。

勢いよくフッキングを決めると竿が根元から粉砕。

覚悟はしていたがなんか虚しい。

 

ほぼリールだけになったタックルで頑張って寄せてくる。

正体はジャスト1メートルくらいのバラクーダ。

ラクーダ、一生許さん。。

 

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前回の沖磯釣行で20キロ前後の魚と4度ファイトしたショアゴリラ100xxh。

よく曲がり、自分の体と相性が良い竿だったが、さすがに限界を通り越してしまっていたようだ。

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(曲がり込むショアゴリラ)

 

思い出の詰まった竿だったが折れたものは仕方がない。

新しく購入した竿でまた頑張っていこう。

 

気持ちを切り替えて終了までベイトタックルで投げまくる。

すると終了間際に沖の方で別注平政220に小さなアタリが。

小気味の良い引きをするので、カッポレかな?と思っていると正体はナンヨウカイワリ。

大きなルアーで釣れるイメージが全くなかったので少し驚いた。

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その後、餌釣り師の方が良型のツチホゼリを釣って終了。

朝から表情が曇りがちだった餌釣り師の方も、少しホッとしたような表情で帰りの船に揺られていた。

 

 

 

翌日、この日も出船8時。

友人に港でたまたま会った際、

「出船遅くない?w」

と煽られる。言い返す言葉もない。

 

そうは言ってもここは母島。

まずめ以外の時間帯のポテンシャルも高い。

 

この日向かった磯は姪島に位置する「ヤギの隠れ場」と呼ばれるマイナー磯。

ここもたまにダイバー達が潜るポイントになっているらしい(察し)

 

スピニングタックルが前日逝ってしまったのでこの日はベイトタックル一本。準備が楽で良い。

ものの数分で準備を終わらせ早速フルキャスト

使用ルアーはヤフーオークションで落札したてのクレイジースイマー。

するといきなり、茶色っぽい魚が追尾してきた。

そして足元のテラスの上でド派手にバイト!7〜8キロくらいのカンパチだ。

残念ながらこれはミスバイトでフッキングには至らなかったが、幸先の良い出だしに気分が高まる。

その後、同じような感じでカスミアジのバイトもあったがこれまたミスバイト。残念。

 

その後、ポッパーで60センチくらいのバラハタを1匹、ダイビングペンシルで100〜120センチくらいのバラクーダを3匹立て続けにキャッチした。

外道ではあるが、足場がとても良いこともあって少し気分が良くなる。

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一方餌釣りの方はというとまさかのノーバイト。バラハタが水面まで食い上げにくるほどの活性だったはずだが、慣れない底物釣りに苦戦を強いられているようだった。(専門はフカセらしい)

 

ところで、この2日間はバラクーダがとても多いように思える。ここまでですでに5本。

母島の沖磯はバラクーダではなくカマスサワラが多い印象だったが、潮通しが悪くなるに従ってサワラとバラクーダの個体数が逆転するのかも。

カマスサワラは釣れば宿の女将さんに喜ばれるので、どうせならバラクーダではなくサワラを釣りたいものだ。。

 

・・・

余談はさておき釣り再開。

どうやら時合が終わってしまったようなので、伝家の宝刀、マグナムミノーを取り出す。

無駄なことを考えず、のんびり巻いてくるだけで魚から反応が得られるので、気分転換にはもってこいだ。

青い海を眺めながら、のんびりルアーを巻いてくる。

すると何やらヒット!

なかなかの重量感とともに根に向かってかなりの勢いで走っていく。

良い魚かも!

少し根ズレの感覚が伝わってきたが、ロングリーダーをとっていたので強引にやり取りしても大丈夫だと判断。

が、この判断が裏目に出た。

手前のテラスにリーダーと魚がスタックしてしまったのだ。

しばらく糸をフリーにして魚が根から剥がれるのを待ってみたが出てこず。

最後、強引に引き剥がそうとしたところで糸が切れてしまった。無念。

 

日陰でリーダーを組み直していると、乗り子として同礁していた若旦那がこちらに近づいてくる。

 

「帰るよ」

 

!!???!?

まだ11時なんですが。。。

 

どうやら朝からノーバイトだった餌釣り師の方がシビレを切らしてしまったようだ。

午後まで粘ればもう一度時合いがあってもおかしくない海況に思えたのだが。。

 

ということで、実釣2時間の超不完全燃焼状態で磯を後にした。

帰りの船の上でおにぎりを食べようとしたが、両手についたバラクーダの異臭によってとてもじゃないが食べられなかった。

地磯では最近バラしが続いているので、早く良い魚を釣って気持ちにもっと余裕を持ちたい。

 

 

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ラクーダ、バラハタなど

ロッド:ランナーエクシード ファイナルスタンドアップ105bxh

リール:アベット ラプター lx

本線:pe8号

リーダー:ナイロン220lb

母島の釣り⑥

地磯は甘くない。

石垣島与那国島といった、比較的アクセスが楽な場所は勿論として、母島やトカラ列島などの、いわゆる"秘境"ですら、地磯で成果をあげるのは本当に難しい。

 

自分が現在滞在中の母島の場合、まず地磯へのエントリーが非常に難しい。山道を30分以上歩き、最後は崖を下る。

そこからさらに膝上まで海に浸かって磯に渡る場合もある。

毎朝2時半に起きて、往復1時間以上のトレッキングをするようなものだから、体力的に本当に過酷だ。

 

そうやって険しい道のりを経て磯に到着しても、魚からの反応はなかなか得られない。

母島の地磯の一番の特徴は、「まずめ一発」。

朝まずめ夕まずめのタイミングで、本当に一発だけチャンスがあるだけ。

 

だいたい週に5日くらいのペースで、2〜4人のメンバー(通称:母島M山釣り部)で朝まずめは磯に足を運んでいるが、5日のうち良い魚からの反応があるのは1日あるかないか。

しかもその反応がある日も、釣り部の誰かしらのルアーに一発出るとそれで終わってしまう。(大抵の場合Mさんのルアーに一発出る笑)

 

5日に1回魚から反応があるだけで、地磯としては素晴らしいポテンシャルだとは思うが、それでもやはり地磯の難しさを日々痛感させられる。

 

そんな中、やっと自分にチャンスが回ってきた。

 

6/8

中潮

満潮…8:28、23:00

干潮…15:39

 

この日は釣り部のIさんと共に、干潮のタイミングでしか入ることができない磯へと夕まずめの一発を狙いに行った。

 

このポイントは母島の磯の中でもエントリーが一番難しく、超急斜面の山道を登っては下り、藪を漕ぎ、海を渡り、最後は横這いになって崖をつたう。

 

行くまでに熱中症で本当に死にかねないので(滑落で死ぬ可能性もあるが)、リュックには水を3L。これまためちゃくちゃ重たい。

時々木々の隙間から見える景色に心癒されながら、1時間かけてポイントに到着した。

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(木々の隙間から。梅雨明けした小笠原の海は本当に綺麗だ)

 

 

ポイントに到着したのは15時半。丁度下げ止まりのタイミングだ。

魚のスイッチが入るのは、潮が上げ始める16時頃からだと踏んで、16時まで日陰で休憩を取る。(というか休憩を取らないと死んでしまう)

頑張って持ってきた2Lのポカリスエットが最高においしい。

 

美しい海を眺めてのんびり座っていると時間はあっという間に過ぎ、時刻は16時を迎えた。

上空にはカツオ鳥が何羽かいて雰囲気がいい。

 

地磯は飛距離がモノを言うので本当はpeの6号を巻いたスピニングタックルを使いたいのだけれど、現在修理に出しているためベイトタックルで。

飛距離を出すためにリーダーの長さは10メートルほどに抑えてある。

使用ルアーは内地の先輩から譲ってもらったS POP。

初めて使うルアーだったので、手探りで自分なりの動かし方を模索してみる。

ボゴッボゴッ、といった重低音なポップ音をだすビッグマウスなどとは違い、パシャパシャと軽快なポップ音を立てる。使い方としてはヤンバルアートクラフトのビギンなんかに似ているのかな?

 

などと、ルアーの動かし方に思いを馳せていると、突然大きく水面が揺らいだ。

 

乗った!

 

南国の魚にしては控えめなバイトだったので魚が食いついた事に気が付くのに少し遅れたのと、まだまだ慣れきらないベイトタックルであったのとで、追い合わせをうまく決められない。

が、運良く竿に重みはしっかりと乗ってくれて、ファイト態勢に入った。

初期ドラグは7kgに設定していたが、魚が止まる気配が微塵もないので、12キロくらいまで一気に上げる。

15メートルほど走ったところで止まってくれたので、ポンピングで寄せてくるものの、10メートル巻いては走られる、の繰り返し。

キハダやイソンボといった、猛スピードで突っ走る魚の引きとは明らかに違う。

この時点で、糸の先にいるのはGTだとなぜか自分の中では確信していた。

魚は斜め左方向のテラスに向かって走ろうとするが、竿のパワーがそれを許さない。

少し根ズレの感触が伝わってくるが、リーダーがもう見えるところまできていたので余裕を持ってファイトする。糸の先には青白い魚体がすでに見えている。

が、突然フッと竿から重みが消えた。

 

フックアウトだった。

 

(恥ずかしいので)感情はあまり表に出さないように日頃からしているのだが、悔しすぎて思わず声を荒げてしまう。

 

思えば反省点しかないファイトだった。

 

追い合わせを思うように決められなかったし、1時間の過酷な山道を経たため、ポンピングの時に下半身を十分に活かすことが出来なかった。

イソンボなどとは違い、キハダやGTは口が硬い。GTに関しては噛む力も半端じゃない。

やはり追い合わせの出来が命取りになる。

 

技術不足を痛感し、ひとしきり悔しがってから、日陰でリーダーを組み直す。(10メートル入れたリーダーは上から下まで毛羽立っていた)

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リーダーを組みながら、悔しさを噛み締め天を仰ごうとして後頭部を磯に強打(死ぬほど痛かった)したが、なんとかリーダーを組み終え釣りを再開。

するも、やはり地磯はまずめ一発。

その後は自分もIさんもノーバイトでこの日を終えた。

 

バラした個体はおそらく15〜20キロくらい。それなりのタックルでかければ高確率でランディングできるサイズだ。

千載一遇のチャンスを逃してしまったが、完全に自分の技術と体力不足が原因なので仕方がない。

尊敬する釣り師の

「近道などない。あるのはイバラ道だけだ」

という言葉を思い出しながら、今度サメを釣ってベイトタックルでの追い合わせ練習をしよう、とか考えながら、崖を登り帰宅した。

 

 

 

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GT(バラし)

ロッド:ランナーエクシード ファイナルスタンドアップ105bxh

リール:アベット ラプター lx

本線:pe8号

リーダー:ナイロン180lb

母島の釣り⑤

前日(6/1)の海況が予想以上に良かったので、翌日(6/2)も急遽沖磯に乗せてもらうことになった。

無理なお願いをこころよく引き受けてくれた船長さんに感謝。

 

6/2

大潮

満潮…4:50、18:19

干潮…11:34

 

この日は島周りの磯ならどこでも乗れそうなほどのべた凪。

まずはサワラ根を偵察に行ってみると既に先行者が。

とういわけで前日同様、まずは鬼岩へ。

この日は前日とは違い、西側から東側に向かう潮の流れが沖に出ていた。

果たしてこれが吉と出るか凶と出るか…

 

思い思いのポイントで釣り開始。鬼岩は磯としてはかなり大きな磯なので釣り座がたくさんあり釣りをしやすい。

朝一、まずはKさんに15キロほどのイソマグロのチェイスがあるものの乗らず。スイッチが入っているわけではなく、何となくルアーについて来た、という感じのチェイスだったらしい。

 

その後2時間ほど3人ともノーバイト。

どうやら西側で湧き出す潮に冷たい水が混じっているらしく、魚の活性が少し下がってしまったようだ。

 

海は本当にわからないなあ

なんて3人でボヤいていると突然の大きな水柱。水柱の下には自分のルアー。

 

乗った!

 

2度3度追い合わせを入れて竿尻をギンバルにセットする。一連の流れが自分でも驚くほどスムーズに行えてなんだか気持ちがいい。

かかった魚は猛スピードで斜め下方向に向かって走り、50メートルくらい走ったところで止まった。

竿に伝わる重量感が半端じゃない。

重そうにファイトする自分の姿と魚の走り方を見て、「GTかもしれないね」とMさんとKさんが後ろでささやく。

自分も、昨日とは明らかに異質な魚の重い引きに、本命である事を期待する。

2分ほどファイトしたところで魚が浮いて来た。

GTか!!??

見えて来たのは黄色いヒレ。またキハダだった。

ルアーが背中に掛かっていたため、通常よりずっと重たく感じたのだ。

ルアーの掛かり所のせいでどんなに頑張って浮かせても空気を吸わせる事が出来ず、手前で何度も走られたがなんとかランディング成功。

昨日に続いて17キロのキハダだった。

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手前で何度も走られたためリーダーは真っ二つに。使用していたリーダーは飛距離と食わせ重視のフロロ30号。やはりどんなにリーダーを細くしてもフロロの100lbが一つの境目な気がする。

 

 

血抜きを済まし、自分は後ろの方で痛んだリーダーを結び直す。MさんとKさんはひたすらルアーをキャスト。

が、乗らない。

前日とは明らかに魚の活性が違うようだ。

 

リーダーを結び終えるも、なんだか連日の猛暑とキハダとのファイトで疲れてしまったので、少しの間カニを捕まえて遊んでみる。

すばしっこい動きをするため、なかなか捕まえるのが難しい。

一匹捕まえたところで、これを餌にしてみようと思い立った。

早速針にカニを1匹丸ごと刺し、海に投げ込みのんびりアタリを待つ。最高の気分転換だ。

ルアーが渋いのでKさんも自分と並んでカニを餌にしてエサ釣り。すると早速Kさんが何かを掛ける。

 

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おいしそうなフエダイ。小笠原の海の豊かさを再認識させられる。

 

自分はというと、カッポレが何度かカニをつつきに来るものの、針が大きすぎて釣れる気がしないのでルアー釣りを再開。(というかKさんのフエダイを見てなんとなく満足してしまった)

前日の疲れが残っているからか、3.4投してはお茶を飲むの繰り返し。

 

そんなこんなで10時までやって3人ともノーバイト。ここで磯を変える。

 

向かった先は島の北東部、臥牛角(がぎゅうかく)。かつてKさんのラインのプロフィール画像になっていたポイントらしい笑

 

開始早々、Mさんのルアーに何かがバイト!

運悪く乗らなかったが、朝からノーバイトだったMさんは少しご機嫌そう。

 

イソマグロの実績があるポイントと聞いたので、自分はイソマグロ狙いでマグナムミノーを投げ続ける。

すると何投かして、7キロくらいのイソマグロが2匹マグナムミノーを追尾して来た。

そして片方のイソマグロが超磯際でバイト!

が、フッキングを決め、数秒ファイトしたところでルアーが抜けてしまった。

足元で掛けると追い合わせを綺麗に決めるのがなかなか難しい。(後で聞いたところ、足元で食わす時はルアーを止めて食わすと綺麗にフッキングが決まるらしい)

 

その後、終了直前にKさんがキメジをキャッチして納竿となった。

2日間竿を振り続けた事による疲労で、船の上ではずっと寝ていたが疲れは全く取れず、夜からのアルバイトは眠くて眠くてどうしようもなかった笑

 

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賄いに自分が釣ったマグロ丼が出てきた。

疲れと思い出とが相まって、今まで食べたどのマグロよりも美味しく感じた笑(ビールが飲みたくなったけど勤務前なのでグッと我慢)

お店に来てくれたお客さんも、「今日の刺身は僕が釣ったマグロです!」と言うと注文してくれて、おいしいおいしいと言って食べてくれた。

なんだか心温まる1日だったなあ

 

 

 

 

 

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キハダ

ロッド:ショアゴリラ 100xxh

リール:ツインパワーsw14000xg

本線:pe6号

リーダー:フロロカーボン30号